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矛盾している。一族の長を望んでいないといいながら、死んだのなら譲れという。
確かに、あいつは血は近い。族長になるのにもおかしくはないだろう。それにしても、まだ現族長が生きているうちからまるで喧嘩を売るかのように言うのはおかしいのだ。
誰かが、族長を殺すのなら話は別だが。なんせこの一族はただでさえ長命であるのだから。
『どたい無理な話だ。次の族長はきまっている』
意外な言葉に思わず耳を傾けてしまう。
『………、白木か?范樹か?』
父の息子の中で飛び抜けて優秀な二人の名前があがる。
白木は、知。范樹は力。どちらを族長に据えても申し分のない人材だ。
だが、父はゆっくりと頭を振った。
『貴様に教える義理などない』
『亜紀か……』
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