暗闇の悪意

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恐ろしいほど澄んだ三日月が、私を祝福してくれているようにも感じた。 「女……、血生臭いニオイがする」 いつの間にか目の前に立っていた男が、私をみて呟いた。 見たことのないいで立ち。今時マントのようなもので全身を覆い、そして、帽子を深く被っていた。 それだけで十分奇妙だというのに、その男がいうことはなにを言っているかなどわからなかった。 「女……、その腹の子は魔の子ぞ。わらわが清めてやろう」 気持ちがわるい。 その場を離れようとホテルに向いた瞬間、私は首に焼けるような暑さを感じた。
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