14人が本棚に入れています
本棚に追加
1 始まりの夢へ…
この話は…。
俺が昔見た摩可不思議な夢の話しをしたいと思う。
どうして、その話しをするのだろう?って思うだろぅ。
それは…。
今日、昼寝をしていた時に見た夢である。
ちらっとだが【彼】を見た。
その【彼】とは…。
俺は…無性に震えた…。
鏡を見るのが怖い、…今も…。
その【彼】とは…。
…あれは、俺の記憶が確かなら22歳の時だったはずだ。
誕生日の近い冬だったはずだ。
いつものように眠りについた俺は、冷たい風が体を通り過ぎた感覚の中で目を覚ました。
そこは…、
霧に包まれた、公園が見える林の中であった。
深い霧が辺りを包み込み、ほんのわずかな範囲だけが視界に入っていた。
俺は何かに呼ばれている様に両手で辺りを確かめながら先に進んだ。
すると、林を抜けた時に、遠くに6本の木が三角形に生えている場所が見えた。
俺は立ち止まる。
眼を凝らしてその場所を見ていると、その木の下にいる人影に気付いた。
女だ!
白いドレスの女は、俺の方へ背を向け立っていた。
俺は、その場で少し女の様子を伺った。
…これは夢?…。
そう思っていた。
どうしたらいいのであろうかと悩んでいると、女は、ゆっくりと横に顔を向けた。
女が見た方向から黒いマントを羽織った男がゆっくり近付いてきた。
俺は、これから何が起こるのか薄々気付いていた。
男はシルクハットを被り、襟の高いマント姿であった。
顔は見えない。
女の横に男が来ると、女の肩に手を回して何かを語りかけていた。
その後、女は小さく頷くとゆっくりと三角形を作り出していた木々の間へと歩み始めた。
男は俺に気付いたのか、こちらに顔だけ小さく向けた。
男の顔は……。
仮面?
真っ白く表情の無い仮面が異様に浮き立ち、黒く大きく空いた目の部分のその奥に瞳が不気味に浮き上がっていた。
俺は、体全体に痛い程の恐怖が走っていたが、逃げる事も無く、その場で男を凝視したていた。
…が、全ては夢とその時は思って気にも止めていなかった。
…その時は…。
一年後の夢に繋がる夢とは……、
思ってもいなかった…。
最初のコメントを投稿しよう!