傘 ―In Two―

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「ハァ……」  とりあえず、朝食の準備をしよう……。        † 「行ってらっしゃい」  大学へ行く礼を見送る。  礼は小さく、はい……、とだけ応えると、バタンと扉を閉じた。  ……更に気分が落ち込みそうだ。  ああ、でも落ち込んでる場合じゃない。  日本に留まってる間に、すべき事がたくさんあるのだ。  俺はとりあえず、居間へ移動した。        † 「健一君、これはどこへ運んだらいいの?」 「ん? ああ、それはな……」  姫の言葉に、笑顔で応える健一。  二人は、大学祭の準備をしていた。  周りには、動き回る人達で溢れている。  中にはきつく、辛そうな顔をしている者もいた。  しかし、大学祭成功への希望からか、大学の敷地内は全て明るい雰囲気に包まれていた。
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