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ホログラムと呼ばれる立体映像が浮かび上がる。
それはまだ幼き頃の俺と両親。
今は亡き母も、楽しそうに笑っている。
パラパラと捲るたび、コロコロと表情が変わる。
場面も変わっていく。
病室のベッドの上で微笑む母に抱きつく僕だった頃の俺。
今思えば、母の顔色はすこぶる悪い。
「…おい」
「えっ?」
呼ばれて気づいた。
俺は泣いていたみたいだ。
「…ごめん」
最後の一枚を残して閉じるアルバム。
「こっちこそ悪かったな。
あんま良い物じゃなかったか」
「うぅん、最高に良い物だったよ。
これは嬉し涙」
半分本当で半分嘘。
もっと母といたかったという、純粋なまでの子供心。
最後の最後、頭を撫でられながら〝ごめんね〟の意味が分からなかった。
もっと一緒にいてあげたかったという純粋なまでの親心。
こうしてホログラムというリアルな母を見て、ようやく分かった気がした。
目を袖でゴシゴシと拭く。
「さぁ、話の続きを」
「おぅ、これで分かったと思うが何かしらの変化があるんだ。
クローゼットから来た奴なんかは、服のデザインも変わってたし、さらに素材も変わってやがったらしい」
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