―序章―

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残念ながら子供ながらの宝と夢が入った箱はなく…むしろ何もなく。 さっきまであったはずのアルバムや、カラーボックスに入りきらずにしまっておいた漫画本すらなくなっていた。 あれ?っと思って押し入れから出たら、そこは抜け殻になっていたわけです。 外を見渡してみても、変わった感じは…ん?あっちに高層ビル群があったっけ? ん?そっちに森なんてなかったよな? 一見変わった様子はないような気がしたが、よく見たら違うような気もする。 いや、絶対違うな。 これでも20年間見続けた景色だし。 …どうなってるわけ? パニクって、慌てて1階へと階段を転げ落ちる。 いや落ちてないけど。 落ちてないけどニュアンスで。 1階も家具もなにもなく、ただガラーンとしていた。 窓類は全て取り払われ、油臭いような匂いを乗せて風が舞いこむ。 「どうなってんだぁ!? なんで誰もいない!? なんで何もない!?」 急激な変化に脳がついていかない。 落ち着かせるためにも暴れて、声を荒げて騒ぎ散らした。
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