―序章―

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灰色の雲が空を覆っている。 太陽の光は遮り、どこか薄暗い。 誰かいないのか? 見慣れた街を走ってまわる。 時折見知らぬ人の家を覗くが、どこももぬけの殻だった。 ちくしょう… どうしたらいいんだ… 走り疲れ、トボトボと歩いて街の中心部へと向かう。 …なんだ? 地震か? 微かに揺れる地面。 本当に微かに。 音が聞こえた。 さっきまでは風が流れる音しかなかったのに、それとは違う音が。 走り出していた。 音のするほうへと。 大きくなる音と振動。 音も振動なんだけども。 わぁぁぁぁ… ガァン… わぁぁぁぁ… ガァン… 人の声…? 争っているような雄叫びのようだ。 人がいる! 今の現状を聞き出さないと! 民家の角を曲がった瞬間、何かに衝突する。 思わず尻餅をついて、見上げた先には…人が立っていた。 …人だ!! 人がいるじゃないか!! 聞かなきゃ…立ち上がって質問しようとしたのに、先に声を出されてしまった。 「お前さん! なんつー格好だ! 死ぬぞ!」
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