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『君に聞いているんだよ。』 5号は俺の方を向いた。 「・・・それは・・」 俺は言葉につまった。 様々な記憶や記録や情景がぐるぐると視界を遮るが 重要な何かが欠落しているようだった。 『まぁ、』 そんな俺の思考を読んだのだろう 5号の口の端がつり上がった。 『君の考察ももっともだ。 我々はまだこの体で日常生活を送ったこともなければ 兵器として人を殺めたこともない。 我々が一体何なのか まだ誰にもわからないだろうさ。 例え「本部」でもね。』 そう言って彼はまた本に目を落とした。
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