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『接続確認。意識的言語との誤差の測定に移ります。』 女の声がした。 それと同時に眼鏡をかけた白衣の老人が ねっとりとした笑顔を作った顔が視界に入り込んできた。 『おはよう。今は夜だから正確にはこんばんはだが、 気分はどうだね?』 老人はそう尋ねた。 「この場所私ははどこにいますか?」 ここはどこだと聞きたいのに、上手く言葉にできない。 声も抑揚のない他人のものだった。 老人はその様子を確認すると、後ろを振り返って頷いた。 『誤差測定。補正します。補正後被験者の生前の言語データを入力しますか?』 『そうしようか。』 何かが頭の中で回転している。
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