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時間も無いので当然と言えば当然である。
「一人一回が限度らしいよ?」
伸也が幸治とヤンにそう伝える。
「それは残念だね。幸治、どうするよ?」
ヤンは諦め気味にそう聞いた。しかし、幸治はそんな事で諦める男では無かった。
「……こうなりゃ、争奪戦だ……!」
そう言って幸治は列に割り込もうとする。
「ちょっ! 割り込むな幸治!」
「煩い!」
「てめ、順番守れ!」
「知ったことか!」
と、リアルバトルが勃発する。
伸也とヤンは、その様子を呆れたように見ていた。
「……何やっているんだか」
「流石幸治だね。予想外の事をやってくれる」
伸也は近くのベンチに座り、ヤンは立ったまま幸治達の様子をニヤニヤしながら見物している。
「おい! ヤン、伸也! 手伝えよ!」
そんな伸也達の様子に、幸治は声を荒らげてそう促すが、伸也は首を横に振る。
「頑張れ~」
ヤンも、リアルファイトには参加しない様子で、笑みを浮かべたまま手でNoのサインを送る。
「薄情者ーっ!」
幸治がそう断末魔を上げると同時に、複数の生徒に押さえつけられてしまった。
………………
…………
……
…
結局、騒動を聞き付けてやって来た先生方に、こっぴどく叱られて時間が潰れ、伸也達はファイトシュミレータを出来ずに出航時間を迎えた。
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