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船に乗船し、修学旅行委員達が点呼を終えて、全員が揃って席に着いている事を先生に伝える。
「2-D、男女全員揃ってます」
伸也の報告に、担任の先生は「そうか」とだけ言うと、困ったような表情を浮かべる。
伸也は気になり、聞いてみる事にした。
「……先生、どうしたんですか?」
その質問に、担任はため息をつくとこう、キッパリと告げる。
「お前等の気にする事じゃ無いな。気にするな。席に戻っておきなさい」
「は、はあ……」
担任は話してくれる様子では無かったので、伸也は諦めて自分の席に向かう。
「どうしたの、赤羽くん?」
そんな声が聞こえて振り向くと、那奈がいた。
「ああ、夢見川か。いや、ちょっと先生の様子が気になってね」
「……何で?」
素で那奈にそう聞かれて、伸也は少し焦る。
「いや、先生の様子さ。何か不味い事でもあったのかな、て思ってな」
伸也がそう言うと、ようやく那奈は同意してくれる。
「ああ……。確かに。何か、ムーンベースの係員さん達も慌ただしかったもんねー」
伸也はそれにうなづく。
何時ものムーンベースより、慌ただしかったのは確かだ。
しかし、伸也達にはその理由がわからなかった。
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