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その声は男性のもので、放送からは他にも怒号が聞こえていた。
明らかに慌ただしい。
艦内従業員が数人伸也達の横を慌てて横切っていた。
と、同時にフライトアテンダントの一人がマイクを取ってこう言った。
《お客様にお知らせいたします。ただいま、何らかのトラブルが起きて、船内が大変揺れます。お席を立っているお客様は、直ぐにお座席の方に戻って、お席をお立ちにならないようにお願い致します。繰り返します……》
その慌ただしさに、乗客はどよめきが起きる。
「一体何が起こってるんだ?」
と言う乗客の声が聞こえる。
「なあ、あ、赤羽……!」
窓際に座っていた友人に呼び掛けられ、伸也は彼の方を向く。
「どうしたんだ? 佐藤」
「あれを見てみろよ!」
彼の慌てた様子に、伸也は疑問を抱きながら外を見た。
「……なっ!」
攻撃用駆逐航宙船が、その砲身を此方に向けているのが良く見える。
現在は通常宇宙空間にいるようだった。
「なんでこんな所に軍用航宙船が……?」
伸也の疑問は、直ぐに明らかになった。
突如、館内放送が鳴り出す。
《我々はフェルガント帝国軍だ。貴艦は我々の船の砲身に狙われている。無駄な抵抗は辞めて速やかに投降されたし》
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