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その放送は、どうやら電波ジャックをされて行われたものらしかった。
と、言うのも直ぐに館内放送が行われて、乗客に落ち着くようにと船長が言ったからだった。
そして、二発目の砲撃がハウードリッヒに対して行われた。
………………
…………
……
…
伸也は、先生を探して、脱出ポッドに向かう人の流れを逆流していた。
しかし、やはりと言うか、先生の姿は座席には無かった。
「先生……居ねぇし」
と、再び船体が揺れる。
「うわっと!」
伸也は直ぐに先生の座席の手すりに捕まり体制を立て直す。
さっきの揺れは大きかった。
「赤羽くん!」
と、知っている声を聞き、伸也はそちらの方を向く。
「夢見川さん! どうしたの?」
「先生に報告しようと思って。……居ないみたいだけどね。赤羽くんは?」
「俺も同じ。委員長に言われてね」
伸也はそう答えると、
「じゃあ、仕方ないから俺達も脱出ポッドに向かおう」
那奈にそう告げると、彼女は頷いた。
「うん、他にうちの学校の生徒が残ってないかどうか確認しながら行きましょう」
「そうだな」
那奈の案に伸也は頷いた。
艦橋は警報の荒らしであった。
緊急事態を報せるアラームが鳴り響き、船体に砲撃が掠める度に嫌な報告の声が響く。
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