瞳を閉じればそこに

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ステージの上に氷室に伴われて勝彦があがった。 『紗由ぅ~~~~~』 『紗由頑張ってぇ~~』 「カッチャン……氷室さん何で?」 さっきプレゼントと称して、会場の勝彦を指差したことといい、 氷室が何かを仕組んだことは明らかなのだ。 「何でって言われてもやなぁ~」 氷室はスタッフからマイクを受け取ってから喋り始めた。 会場中に紗由貴と氷室の会話が流れる。 「実はオマエには言うてへんかったけどなぁ、俺らメル友やねん」 「え?」 「あのときからずっと、俺と中川さんは週に一回はメールでやりとりしとってん」 「な……何で教えてくれなかったんですか?」 「それはやなぁ、あの頃のオマエはまだ子供やったからや」 「そんなぁ~、私がどんな想いで今まで過ごしてたと思ってるんですか」 「せやからずっとオマエのことを見守っとったんやんけ」 「そんなの……」 「それでやなぁ、そろそろもうええやろうと思うたから、今回こういう形をとったんやがな」 紗由貴は言いたいことがたくさんあったけれど言うのをやめた。 今は過去のことより目の前の勝彦なのだ。
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