1616人が本棚に入れています
本棚に追加
「今もカッチャンが好きです。もうカッチャン以外の誰も」
「待った!」
「え?」
「その先は俺が言う」
「ぁ、うん……」
勝彦は氷室の持っているマイクを受け取った。
「人ってさぁ、みんな幸せに感じるレベルっていうのが違うと思うんだよ」
「え? ぁ、うん」
「例えば、大きな屋敷にお抱えのコックやメイドがいて、毎年海外に買い物に行って……
そういう生活が君の思う幸せなら、おそらく俺は一生君を幸せにしてやることは出来ないと思う。
だから今ここで、絶対に君を幸せにしてやるなんて、そんな無責任なことは口が裂けても言えないし、約束なんて出来ない。
でもねぇ紗由貴ちゃん、絶対に幸せにしてやるっていう約束は出来ないけど、
君を幸せにするための努力は、死ぬまで怠るつもりはない。
それだけは今ここで約束する。
だから……俺と結婚して欲しい」
『うわぁああああああ』
『やったぁあああああ』
『すごぉーーーーーい』
『紗由おめでとう』
紗由貴の目からまた涙が溢れて頬を伝う。
「うん」
紗由貴は返事をするとすぐに勝彦の胸に飛び込んだ。
勝彦は紗由貴の身体を抱きしめる。
大きなコンサート会場のステージの上。
抱き合った二人の唇が重なる。
『きゃああ~~~~~~~』
『おめでとう紗由ぅうう~~~』
『紗由ぅう~~~~』
『おめでとう』
抱きしめあった二人を会場を埋め尽くした全てのファンが祝福し、
いつまでも、いつまでも、会場は感動と興奮に包まれていた。
最初のコメントを投稿しよう!