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そして翌日。
それにしても通常の参観日というのは、基本的に母親が来るのが通例らしく、美緒のクラスで父親は勝彦一人だった。
何だかママさんたちの視線を感じる。
勝彦は出来るだけ隅っこのほうで小さくなっていた。
結構若いママさんが多い中、五十歳前の自分は何だか父親というよりお祖父ちゃんに近いかもしれない。
そういった好奇の目を向けられているのがよく分かる。
ただ……美緒が人気歌手SAYUKIの娘ということは、秘密にしているから、そういった意味での好奇な目ではないと思う。
勝彦は出来ればこのままずっと、美緒が卒業するまでバレないで欲しいと思っていた。
美緒に限らず子供たちが、チラチラと後ろを気にしているのが、何とも可愛くて微笑ましい。
そんな勝彦の全ての思惑と安らいだ気持ちは、残念ながらこの十分後に全て消えてなくなってしまった。
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