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「あはは、どうも」
勝彦は愛想笑いで会釈をする。
「サインしてください!」
一人のママさんが興奮して叫んだ。
「えっ!? 俺の?」
勝彦は驚いて聞き返した。
「はい。ぜひ」
「いや、いや、いや、俺は芸能人じゃないし……。こっちこっち芸能人は」
勝彦は顔を引き攣らせながら氷室を指した。
勝彦の意向で、美緒を私立ではなく公立の小学校に通わせているから、バレるとまぁ、こういう反応になるとは思っていた。
だから隠していたのに……。
卒業まで秘密にしておこうと思っていた勝彦の思惑は、氷室のせいで早くも初年度にして台無しになってしまった。
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