そして10年後

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授業どころではなくなってしまった教室。 氷室はママさんたちからサイン攻めにあいながらも、ニコニコしながらその全てに応える。 しかも、勝彦までかなりしつこくせがまれて、しぶしぶサインをさせられてしまった。 こうなると次の標的は、歌姫SAYUKIの娘である。 「やっぱ似てるよね」 「うん。超可愛い」 「美緒ちゃ~ん」 「あっ、こっちむいた」 もうほとんどパンダ状態。 「皆さんお願いですから授業を!」 担任の香川は半泣きで頼んだ。 もちろんママさんたちはそれを無視。 「すみませんが、娘はまだ母親が人気歌手だってことを理解してませんので、あまり騒ぎ立てないでやってもらえませんか」 「えっ、何で!」 「どうして?」 「テレビでSAYUKIがママだって教えてないの?」 止まらないマシンガントークに、勝彦はほとほと困り果てた。
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