そして10年後

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「いや……それは……ジュンちゃんにも分からへん」 「嘘!!」 「いや……」 氷室は六歳の女の子相手に、本気でやり込められる。 「嘘つく人、美緒嫌い」 「ちょ」 「もうジュンちゃんなんか遊んであげない」 美緒はプイっと横を向く。 「え~~なんでやねん」 「知らない」 横を向いたままで冷たい口調。 「分かった分かった。教えるからそんなん言わんでくれ」 美緒のことが可愛くて仕方ない氷室は本気で焦った。 「じゃあ教えて」 美緒がニコッと微笑む。 「うん」 美緒に嫌われるなんて、そんなことはあってはならない。 恋愛経験豊富な氷室なのに、こと美緒には敵わないのだ。 氷室は心の中で中川夫妻に謝った。
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