そして10年後

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「嘘なんかついとらんやん」 焦った氷室を美緒がジロっと睨む。 「な、な、なんやねん?」 「ジュンちゃんって嘘つくとき鼻触るってママが言ってた」 「えっ!?」 「もう知らない」 美緒はまた横を向いた。 「ちょ、ちょっと待ちぃって、言うから! ちゃんと言うから」 大の大人が完全に手玉にとられている。 「じゃあ教えて」 「わ、分かった」 氷室は大失敗を心の中で反省しつつ、どう話すべきか悩んだ。 しかし……とっさに良い案は浮かんでこない。とりあえず美緒に嫌われることはあってはならないのだ。 「ジュンちゃん!」 「は、は、はい!」 美緒に詰め寄られて、氷室は観念した。
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