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「ど、どうしてここに……?」
当然といえば当然。僕は高鳴る心臓をどうにか押さえつけ、それこそ絞り出すように少女――アザレナに問いかける。
彼女は、威風堂々とベッドの上に立っており(しかも土足で)、僕を見下ろすように口を開いた。
「ふん、使い魔の居場所くらい手にとるように分かるわい。先程の事といい、あまり儂をナメるなよ?」
いやいやいや、ナメてはいない。ナメてはいないけど! 僕が聞きたいのは多分そういう事じゃない!
このままでは埒があかないので、僕は質問を変える事にした。
本当、人間は――少なくとも僕という人間は、あまりにも異常な事に見舞われた時、意外にも冷静になれるものらしい。
「質問を変えよう。君は、一体何なんだ?」
誰なんだ、ではなく、何なんだ。
何故かそう聞くのが正しいような気がした。
多分、同じにおいがしたからだろう。あの、黒い塊の化物と。
そして、彼女は、まるでそんな事を聞かれるのは心外だという顔をした後、考えるような仕草をして――。
「ふむ――。一言で言うなら『まほーつかい』。二言でいうなら『凄いまほーつかい』かの」
予想の真上をいく返答だった。
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