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息
その日の朝は寒かった…
僕は駅のホームで何気なく
ため息をついた
薄白く
弱々しく
儚げに消えていった
僕は哀しくなって
強く息を吐いた
白く
荒々しく
ひろがり消えていった
そこに意味なんてなく
これらはただ消えるために生まれてきたんだろう…
その日の帰り道
再び僕はため息をついた
隣で歩く友人が呟いた
「息が死んでるょ」
僕はハッとしたんだ
こいつらは消えるために生まれたんじゃない
僕に逢うために現れたんだ
そして何より僕自身が生み出していたんだ
寒い日に現れる僕の化身…自らの心
僕は友人へ何も言わず
息を吹きかけた
白く真っすぐ
友人をもてあそぶように
楽しげに消えていった
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