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あるところに一人の女の子がいました 女の子は一人ぼっち いつもいつも一人ぼっちでした 友達なんてものは勿論いませんでしたし 家族というものもありませんでした 女の子は本当に一人ぼっちだったのです では、初めからそんなものがなかったのでしょうか? それは違います 女の子にだって友達がいました 女の子にだって家族がいました ならばみんなどこに行ってしまったのでしょう? 女の子にはわかりませんでした。 ただ、もう二度と会えないということだけしか。 人とは違う、水色の髪 人とは違う、不思議な力 この力で沢山の人を傷つけて この力で沢山の人を苦しめた だから女の子は自分が大嫌いでした。 女の子には感情がわずかしかありませんでした。 嫌いなものは自分だけ 好きなものなんて何もない 楽しいも嬉しいもわからない 寂しいも悲しいもわからない 不幸が何かわからない 幸せが何かわからない ただ、一人になった時女の子は全てわかったのです みんなとのおしゃべりが楽しいってことだったんだ 誕生日をお祝いしてもらえたことが嬉しいってことだったんだ 今この状況が寂しいってことなんだ みんなを傷つけてしまったことが悲しいってことだったんだ今が不幸なんだ あれが、幸せだったんだ
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