5154人が本棚に入れています
本棚に追加
(もうぐずぐずしてられない。)
紗智は慌ててその場から駆け出した。
総司の部屋へ戻り、自分の風呂敷を乱暴に広げる。
紗智は不安な顔で一つの缶を取り出した。
中には大量の薬が入っている。
紗智がいた時代から持ってきた物だ。
(私が来てから二年…薬の使用期限は状態が良くて二、三年。)
これを使う時が来てしまった。出来れば使わずに勘違いであって欲しいと何度も思っていた。
紗智は薬の入った缶を強く握り締めた。
表情は固い。
(大丈夫、きっと治せる。)
紗智は目を瞑り、自分に言い聞かせ、深呼吸をする。
(総司を死なせたりしない!)
最初のコメントを投稿しよう!