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『紗智さん、本気で言ってるんですか?』
総司の声は途端に冷たくなる。
紗智はゾクリと背中が寒くなった。
でも今更引き返せない。
『本気だよ!私なんかよりコウって人の事の方が大事なんでしょう!』
紗智は吐き捨てた。
総司の顔は一瞬酷く哀しげな表情に変わる。
『分かりました。紗智さんがそんな風に思ってるなんて…心外です。今日は他の部屋で寝ます。』
総司は櫛を握り締め、部屋から出ていった。
(あぁ、やっちゃった。可愛げないな…。馬鹿だ私。)
紗智は素直になれない自分を後悔する。
総司の話しを聞く事もせず責めてしまった。
嫉妬で周りが見えなくなるなんて情けないと紗智はがっくり項垂れた。
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