5155人が本棚に入れています
本棚に追加
総司とコウは川辺に腰を降ろした。
紗智は隠れる様に木の影に身を潜めた。
『総司、私と一緒に江戸に帰ろう。』
コウは総司の肩に寄り掛かる。
それを見ている紗智は殺意が芽生えた。
(総司、そのままコウを川に突き落とせ!)
紗智は心の中で叫ぶ。
『止めて下さい。私は帰る気はありません。それに会うのはこれっきりです。』
総司は寄り掛かるコウをのけ、きっぱりと言いきった。
コウは驚いた顔を見せる。
『痛っ!』
コウは左手を押さえだした。
遠目からの紗智からも分かる、着物の袖からチラリと左手首の酷い傷痕が見えた。
コウの行動に総司は苦い顔をする。
(こうやって総司を苦しめてるのか。)
紗智は今にも飛び出したい気持ちを押さえる。
『私が未熟なばかりに貴女が傷付いてしまった事は謝ります。でも私は貴女とは…』
『止めて!それ以上言わないで。』
コウは立ち上がる。
最初のコメントを投稿しよう!