医者

13/48
前へ
/1324ページ
次へ
『あはは。頭を上げなさい。それで願いって言うのは何だい?』 近藤は優しく微笑む。 紗智は意を決して近藤の部屋を訪れていた。 紗智は深々と頭を下げている。 『はい、実は…』 紗智は迷う。 武士にとって病が知られると言うのは弱みを知られる事と同じだ。 総司はそれを知っていて隠しているとも考えられる。 (私がバラしても良いのかな…) 紗智は黙りこんでしまった。 近藤は首を傾げて紗智を覗き込む。 『総司に休暇を貰えないでしょうか。』 紗智は理由も告げず、近藤に言った。 休暇が貰えれば誰にも知られず治す事が出来る。 紗智は淡い期待を抱いていた。
/1324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5154人が本棚に入れています
本棚に追加