茉莉沙編・夕焼け小焼け

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目が覚めると、あたしは湿地に倒れていた。 半身を起こして軽く見回す。 鞄とコンビニの袋は手元に転がって居た。   なんであたし、こんな所に居るのさ? 確か、家に帰る途中だったのに。 学校から家への道は毎日のように歩いて通る。 だから自信を持って言える。   “こんな場所は近くに無い”   頬をつねり、痛い。目を擦り、気づく。   「眼鏡、ない」   急いで立ち上がり、辺りを探し回る。 別に眼鏡が無くても、生活に困るほど目は悪くはないけど(左右共々0.4ずつ)、訳わかんない事になってしまった以上、より良く見えた方が良いと思うから。   なんとか眼鏡を探し出し、汚れを払って掛ける。 近くに城壁みたいな物がありその向こうに建物の屋根が沢山見えた。 それを見て冷静に思い直す。   ここ何処? 城壁に囲まれた街ってRPGとか世界史でしか見たことないよ?   ……でも、ここに居てもどうしようもない。 景気付けにコンビニの菓子パンを食べながら城壁を目指して歩く。 こんな時でも菓子パンはおいしい。 パンだけじゃ喉が乾くからカフェオレも飲む。 ゴミはコンビニ袋に仕舞い、やや小さくなった袋を鞄に詰め込む。   しばらく歩いて城壁の所にたどり着いた。立ち止まり、めいいっぱい城壁を見上げる。 5mぐらい?いや、もうちょいあるかも。 あたしは一度深呼吸をしてから街へ一歩踏み出した。   街の中は、まるで小さな頃に読んだ絵本のように、獣耳や角や尻尾の生えた人、コートで無く本物の立派な毛皮の人、空を飛ぶ人……などとにかく色々な人がいた。
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