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「おはよっ!セルドおじさん」
「おはよう。クリスちゃん。散歩かい?」
「ううん!れんしゅーなの。しょーかん!あぶないからおうちでやっちゃダメだって」
私が召喚術を習いだしたのは、6歳の時。
当時母親は、代々幻獣界メイトルパの召喚術をつかうアプレインの当主だった。
だから家にはメイトルパの召喚獣が何人(何体?)かいた。
セルドもその一人。
フバース族という毛むくじゃらの獣人で、体が大きく、鋭い爪と牙を持っていて見た目は怖い。
でも、優しくて、よく遊んでくれて、もしかしたら私は仕事ばかりの親よりもなついていたかもしれない。
「セルドおじさんはなにしてんの?」
「これかい?もうすぐ雪降ってくるだろ。庭木の枝が雪の重みで折れないようにロープで上に引っ張って支えてるんだよ」
「へ~」
「毎年やってるよ」
「そだっけ?しらない」
「おじさんがんばってるのにな~クリスちゃんは知らないか~そっかぁ……」
「げんきだして。ことしはちゃんとみるから!じゃあ、いってくるね」
私は母が待つ玄関に駆けて行った。
―リィンバウム
この世界はそう呼ばれている。
ここは4つの世界と隣り合わせていて、“召喚術”によってその4つの世界に棲む者達を喚ぶ事ができる。
1つは機界ロレイラル。
名のとおり機械だらけで、超兵器によって荒廃した世界。
2つめは鬼妖界シルターン。
鬼に龍に妖怪に人間。
それらの争いの世界。
3つめは霊界サプレス。
精霊や天使、悪魔の棲む神秘的な世界。
4つめは私のつかう幻獣界メイトルパ。
セルドみたいな獣人や完全な獣の暮らす緑の多い世界。
召喚術には違世界の扉を開く鍵としてサモナイト石という宝石のような石がいる。
サモナイト石は5色あって、うち4色が、黒はロレイラル、赤はシルターン、紫はサプレス、緑はメイトルパと決まっている。
最後の1つは色の無い石。
対応世界不明。
岩とか鍋とか机とか石像とか降ってくる。
誰でも使える。
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