クリス編・きおく

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広い敷地。 蒼の派閥の本部中庭。 「ここなら大丈夫ね」 杖を持った母と幼い私は並んで歩いていた。 一回やって見せるわね、母はそういって私から離れると、 「故き叡智の術と我が声により今召喚の門をひらかん……」 母が杖を持ち直し呪文を詠唱すると、辺りが輝き、周りが白っぽく見えた。 この日までに私は召喚術について基礎的な事は習っていたから、本当に習った通りになるのかとわくわくして母を見ていた。 「喚びかけに答えよ!異界の者よ!」 母の声で、一層強く辺りは輝き、目を開けていられなかった。 爆発のような音がして、そっと目を開けると、そこにメイトルパの幻獣、ジュラフィムがいた。 「ジュラフィムだ~」 私が近づこうとすると、ジュラフィムは消えてしまった。母が送還したのだ。 「じゃあ今度は自分でやってみようか」 母が杖とサモナイト石を差し出す。 私がそれらを受け取ったのを確認すると、走ってやたら遠くに逃げてしまった。 「無茶しないでねー!!」 こんな事を言いながら。 私はきゅっと杖を握りしめて、別に大声で無くても良いのに、出来る限りの大きな声で、詠唱した。 「ふるきえいちのじゅつとわがこえによっていましょうかんのもんをひらかん」 母がやって見せた時と同じように辺りが輝き……
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