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ぎゃわぎゃわと、もう誰が何を言っているのかわからなかった。
「君はいいの?」
メガネくんは私を見て、苦笑い。
「何が?」
首を傾げると、メガネくんは指差した。その先は騒がしい中の森屋くん。ううん? と更に首を傾げる。
「雄太とダンスを一緒に踊りたいんじゃないの?」
「ゆうたって誰?」
今度はメガネくんが首を傾げた。
「森屋」
「ああ、そんな名前なんだ」
私はふああとあくびをした。昼休みも、もう終わる。キーンコーンと、チャイムが鳴った。
「君はもうその……ダンスの相手は決まったの?」
「まだだよ」
チャイムの音で一気に終息した森屋くんと踊りたい騒ぎのおかげで、幾分話しやすくなった。
「そうなんだ」
「うん。なるようになるかなとも思うし、別に女の子とペア組んでもいいかなとも思うから」
「女の子とペア?」
「うちの学校、女子のが人数多いんだって。だから五組くらいは女子のペアができるらしいよ」
へえ、とメガネくんが相づちを打つと、先生が入ってきた。五時間目の始まり。窓の外を見やると、少しよどんだ雲が見えた。
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