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学校終わりのチャイムが鳴り、帰りの会を済ませた私たちは下校しようとげた箱に向かう。混雑したげた箱は、自分の靴までなかなかたどり着けない。
珠実は部活があるからと、さっさと体育館に行ってしまった。
「ダンス、どうなったの?」
あの騒ぎでどう収拾がついたのか、気になった。
「もちろん、森屋くんの相手はあたしよ」
美佳は私にピースサインをした。
「良かったねえ」
のほほんと上履きを脱いで、やっと取り出せた靴を履く。
「それがそう良くもないんだよね」
苦笑いをして、美佳は靴に履き替えた。
「あそこまで森屋くんが人気者だとは予想してなかったわ」
どういうこと? と聞こうと、前を見ないまま歩いた私は誰かにぶつかった。
「わっ」
ドンッとぶつかったのはまたしても背の高い学ラン。
「すず、何してるのよ」
小さく笑いながら、美佳は私の肩を叩いた。
「ご、ごめんなさい」
おじぎをして、謝って、顔をあげた。
「あ、君か」
そこには困ったように笑うメガネくんがいた。
「この前も理科室の前でだけど、同じようにぶつかられたことがあるんだよね」
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