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「面倒なことになっちゃった」
1時間目の授業が終わり、休み時間。美佳は私を見てため息をついた。
「面倒なこと?」
首を傾げると、美佳は眉をハの字にしてうなずいた。
「まだはっきりとはして無いんだけど……珠実には言わないでね、言ったらきっと大騒ぎになるから」
そう言って、私の机の上に小さく折り畳まれた紙を5つ置いた。
「こういうことする暗い奴っているのよねえ」
ひとつ開いて見ると、手のひらサイズの白い紙に、「ペア解除するように」と赤いペンで書かれていた。
「何これ」
美佳を見ると、困ったように笑いながら、残りの4つも開いていった。
「うわー」
私はあからさまに嫌な顔になった。そこには、太い黒のマーカーで「死ね」と書かれたものから「森屋くんはみんなのもの」と書かれた勘違いも甚だしいものまであった。
「森屋くんは森屋くん自身のものじゃんね」
私はぶつくさと文句を言いながら、5枚の手紙をビリビリと破った。
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