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学活の時間。文化祭にクラスでどんな出し物をするか、話し合うことになった。
「私、縁日やりたーい」
「手作り雑貨がいい」
「いや、フランクフルト!」
様々な意見が飛び交う。席を移動してはいけないというのをヤだなと思いながら遠い席の珠実を見やる。珠実は近くの男子とおちゃらけていた。私は視線を席の近い美佳に戻し、「お化け屋敷がいいかも」と笑いあった。
「森屋くん、何かありますか?」
学級委員の女の子が、窓際一番前の席で眠っている森屋くんを指した。
「森屋くん!」
一度呼んだだけじゃ起きなくて、委員長は森屋くんの名前を2回呼んだ。
「……へ?」
ゆっくりと顔をあげ、よだれを拭う森屋くん。騒がしかった教室は途端に静かになった。
「文化祭の出し物、何がいいと思いますか?」
咳払いをし、委員長は再度訊ねる。
「え……と、楽しいやつ」
まだ寝ぼけているのか、森屋くんがそう言うと、教室はどっとわいた。
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