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結局、文化祭はフランクフルトをやることになった。おばけ屋敷やりたかったねって美佳とぶうたれて、珠実にフランクフルトもいいじゃんって励まされて。そう言われると、そうかもねって思える私がいたりする。それがなんだかおかしくて、少しずつやってくる文化祭が楽しみになってきた。
文化祭まであと20日。
役や値段を決めて、みんなで浮かれた。クラスTシャツを作ろうよって話も出たけど、中学生の私たちに実行まで移せる力は無かったので、話は出ただけで終わった。ダンスのパートナーもどんどん決まっていっているみたいで、フリーの女の子も絞られてきた。
「誰とやるのかな」
知らない子だろうなあと、放課後の教室で呟いた。ベランダには「勝手に出るな」の乱雑な紙が貼られているけど、私は無視してベランダの手すりに頭を垂れる。
「ふあ」
綺麗なオレンジ色の夕焼けに、あくびが漏れる。
「倉橋さん」
ふいに窓が開く音、声をかけられた。
「俺とペア組まない?」
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