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「ケー番教えてくんない?」
森屋くんはポケットから自分の携帯を取り出す。
「いいよ」
美佳も携帯を取り出し、赤外線でアドレス交換。ざわざわと、女の子の視線が集まる。美佳は気にしない素振りで、森屋くんに笑いかけた。
「ありがとう」
森屋くんも笑顔で返す。
「こちらこそありがとう」
私はそのやりとりを見て、珠実と笑った。
「ラブラブだよね」
美佳が戻ってくる。
「付き合うかもね、2人」
珠実が美佳の頭を撫でる。
「……馬鹿なこと言わないで!」
美佳は頭の上にあった珠実の手を振り払う。怖い顔。でも手は震えている。
「……美佳?」
珠実は血相を変えた美佳に驚きを隠せない。
「あ……ご、めん。ちょっと具合悪いから保健室行く」
美佳ははっと我に返り、パタパタと教室を出た。
「美佳、何かあったの?」
珠実は美佳の後ろ姿をポカンと見つめる。
「……えっと、」
私は珠実の問いにどう答えたらいいのかわからなかった。だって、それが原因なのかはわからないし……口止めされているし。
「すず、私たち、友達だよね?」
珠実の真剣な表情。私の口は、つい、動いてしまう。
「……怒らないでね、」
私は表情をみるみる内に変えていく珠実に、知っていることを話した。
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