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「あたしさ、このクラスの森屋くんカッコいいと思うんだけど」
セミロングの茶色がかった髪を、2つにゆるくまとめている美佳が口を開いた。
美佳はおしゃれに目がなくて、いつもかわいいゴムで髪をアレンジいるし、靴下のワンポイントは「ヴィヴィアンウエストウッド」だったりする。そのブランドはよくわからないけど、美佳が選ぶってことは、きっと有名なかわいいブランドなんだと思う。
「森屋ぁ?」
ショートカットのふんわりした髪を揺らすのは、きりっとした目が印象的な珠実。
さっぱりとした性格の珠実は、すごい大食いだけど女の私からしても羨ましい、ほっそりした体つきをしている。
「カッコいいんだって、ねぇ、すずはどう思う?」
美佳がかわいい笑顔を私に向ける。赤い頬にキチッと上を向く長いまつげ、大きな瞳。
「ちょっと……わからないかな」
こういう話には、いつもついていけない。「カッコいいかどうか」なんて、今まで気にしていた「おもしろいかどうか」とは、また違ったものだから。
「まあ、すずはねー」
2人はそう言って、私の頭を撫でた。
「純だからね、純」
なんだか、そう言われるのは、悔しい。
私だけ、置いてけぼりにされている気がして。
でも、対抗する術をなにも持たない私は、ただただ笑うしかなかった。
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