Lesson 1

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 今、この空は梅雨を迎える。  どんよりした日々は、学校の中も湿らせる。 「雑巾がけしても滑るよね」  キュッキュと上履きを鳴らしながら廊下を歩く。白い廊下は、連日の雨のせいで水気を帯びていた。 「気をつけて歩きなよ」 「すずはどんくさいもんね」 「余計なお世話」  ニヤニヤとからかってくる2人に、つっけんどんな返事。だって、暗に転べと言われている気がしたんだもん。 「すずが可愛くなぁい」  理科の教科書を抱えながら、美佳が珠実の肩を叩く。 「まぁ、下ばかり向いて誰かにぶつからないようにね」  足下ばかりを気にする私に、珠実はアドバイスした。 「……うん」  相変わらず足下を見やる私に、珠実は苦笑い。つられるように美佳も笑った。
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