Lesson 1

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「ぎゃっ」  理科室についたことに気づかず、教室を通り過ぎた私は誰かにぶつかった。 「ご、ごめんなさい」  後ろ向きのままの背の高い学ランに、私は深くおじぎをした。 「すずー、通り過ぎるなんて爆笑だけど」  教室の後ろのドアから、珠実の声がした。私はそのドアへ、早足で向かう。床はつるつる滑り、やっぱり歩きにくい。 「わかってたなら止めてよ」  すでに席につき、腹を抱えて笑い声を必死に我慢する美佳を、むうっと見る。 「い、や、まさか通り過ぎるなんて……予想外」  途切れ途切れに言葉を発する。 「すずも座れば?」  美佳の向かい側に座る珠実に促され、私は美佳の隣に座った。 「ツボ入った……」  笑い上戸の美佳は、その後も私を見ては、我慢できずに吹いていた。  そのたびに私の顔は赤くなっていった。 「そこまで笑わなくてもいいじゃん」  美佳は「ごめっ、」と言いながら、体を震わせていた。  人にぶつかったと言ったら、この倍は笑われるのだろうか。  耳までもが赤く染まった。 「きりーつ」  チャイムが鳴り、号令がかかる。  私は髪を手で梳かしながら、礼をした。
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