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美佳が散々「カッコいい」と言っていた森屋くんは、あっという間に学年中の人気者にのぼりつめた。
「あれが森屋くん」
人気が沸いたことに、自分の目は間違ってないと自信を深める美佳は、休み時間の騒がしい教室で、私に噂の森屋くんを教えてくれた。
「あのメガネ?」
「いや、その隣」
目を凝らして、その「森屋くん」という黒髪の男の子を見る。友だちと楽しそうに笑う姿は、なるほど光り輝いて見える。でももしかしたら、みんなが「カッコいい」と言うから、そんな風に思えたのかもしれない。
背の高い少しやけた肌は活発な、でもやわらく笑う姿は、優しそうな印象を受けた。
(森屋くんか)
どうせしゃべることも無いだろうけど。私は森屋くんから目をそらし、次の授業の用意をするため自分の席についた。
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