Lesson 2

3/11
前へ
/37ページ
次へ
「彼氏欲しい……」  お昼休み終了のチャイムが鳴る少し前。トイレから戻ってきた美佳は、よろよろと私たちに近づき、そうもらした。 「いきなりどうしたの?」  テンションの低い美佳は、久しぶりに見た。 「今月末に文化祭あるじゃん……終わった後、校庭でフォークダンスするんだって」  珠実はへぇ、と相づちを打った。 「でね、そのダンスの相手を決めておかなきゃいけないんだって!」  私は意味が把握できずに首をかしげる。 「だから、男の子と1対1で踊らなきゃならないわけ! この学校は女のほうが10人くらい多いから……男子を捕まえられなかった女子は女子と踊らなきゃならないの!」  せっかくのイベントを女と踊るなんてもったいない! 美佳はため息をついた。 「だから最近、目を付けていた男子に彼女が出来始めたのね……気づくのが遅かった」  私と珠実は美佳の肩をたたいた。 「珠実はいいよねー、先輩と踊るんでしょ?」  珠実は、ははっと笑った。数日前、珠実は部活の先輩に告白され、今では先輩の「彼女」になっていた。 「頑張って男ゲットだよ、すず!」  急にこちらを振り返った美佳は、私の手を握った。 「じゃあ森屋くんを誘ってみるか」  いつの間にか元の様子に戻った美佳は、無謀にも森屋くんをパートナーに選ぶらしい。 「森屋くん」  美佳が森屋くんに話かけたとき、私は周りからの痛い視線を感じた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加