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目覚めた世界は、鈍色の空
其処に太陽は無く
巨大な照明が男を照らす。
そして、その照明を取り囲み
白衣の人間が男の周りで何かを口々に話す。
「バイタルは、安定を保っているようです」
「肉体の方は?」
「問題ありません
アレとの肉体への適合率も順調のようです」
白衣の連中は、口々に何かを話している。
男は、虚ろながら話の内容を
聞いていると一人の初老の男が口を開いた。
「此処までは、成功だ
あの方もお喜びになる筈だ……後は………に…任せ………頼んだ……音無君……………」
段々、頭が朦朧とし話も上手く聞き取れない。
だが、一つ解ったのは
初老の男と話す栗毛色の髪を
後ろで束ねた女が、音無という名前だと言う事だけだった。
「了解です、後は私にお任せ下さい」
凛とした声で何かを説明する
女は、頷きながら男に視線を向ける。
しかし、既にこの時には、
男の意思は深い眠りに就いていたのだった。
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