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ヴヴヴ…………
「ここではこの定理を使い――」
太もも、ちょうどズボンのポケット辺りから僕の身体に小刻みな振動が伝わる。携帯のバイブがメールの受信を知らせたのだ。
僕はそっとポケットに手を突っ込む。
「そして代入してから――」
教師の視線に気をつけながら机の下で携帯を操作し、そっと液晶を確認する。
【新着メール1件】
僕はその時“何か”を感じた。それが何なのかは全く分からないが。
そしてメールを開く……。
その刹那、怒号が飛ぶ。
「おい! 亮、聞いてるのか!」
「ぇ、はい!」
僕は驚いて立ち上がってしまった。周りからクスクスと笑い声が聞こえた。
「答えてみろ」
ハゲかけてる数学の村田先生が黒板の問題を示した。
「……6、ですか?」
「正解だ。座れ」
よかった……。
僕の勘も玉には当たるんだ……。
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