綺麗な箱

3/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
けれどある時、 何が入っているのかがどうしても気になって、 その箱をどうしても開けたくなった。 こんなに大切にしてきたのだから、 こんなに綺麗な箱なのだから、 何かその箱以上に綺麗なものが、 何かその箱以上に価値のあるものが入っているに違いない。 ずっとそう思い込んでいた。 それなのに、 中に何が入ってるのか どうしても分からない。 分からない。 一体何が入ってるのか? 大切な箱の中に入っている、 大切なものは何なのか? 開けてみたい。 中身が知りたい。 でも、 とても大切にしてきた綺麗な箱だから、 壊すのは嫌だった。 でも 開けたい。 大切な美しい箱に入っている、 箱以上に大切な美しい何かをどうしても見てみたい。 思い切って、 嫌で嫌で仕方ないけれど、 壊してみようか。 箱を揺さぶって 耳を当ててみても、 物音は一つもしない。 もしかしたら、 何も入っていないのかもしれない。 けれど、 何かが必ず入っている。 重みは感じる。 何も入っていないことはない。 きっと、 何かが入っているに違いない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!