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歩みを進めると、校舎の端にある美術室の前に着いた。
「今は美術部が使ってると思いますよ」
松雪は恭達にそう言って、美術室の扉を手の甲で軽く叩いてから静かに開けた。
中に足を踏み入れると木材の匂いが鼻に届き、蒸し暑かった廊下とは比べ物にならないぐらい居心地の良い空間だった。
「井草先生、この子達は見学で……」
「あぁ、どうぞ」
松雪は美術室にいた教師に近付いて簡単な説明を済ませ、手招きで恭達を教室の奥へと進ませた。
美術教諭であり美術部顧問でもある彼は"菅原井草(すがわら いぐさ)"という名だと、松雪が紹介した。
松雪と菅原は同年同期で仲が良いらしく、親しげな雰囲気で会話をしている様子が窺える。
「恭、菅原先生もカッコ良くない? 松雪先生の方がもっと良いけど」
「………へぇ」
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