ご法度

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「…それから先は口にしてはいけません」 「っ、ふぁふぃお…!」 恭が想いを寄せている教師、菅原井草(すがわら いぐさ)は彼女の唇に自身の掌を押し付け、続きを飲み込ませた。 その手をポンポンと叩けば、彼はすぐに恭の口を解放する。 「何するんですかっ!」 手が離れた途端にそう恭が噛み付けば、呆れたように菅原が口を開き、ため息とともに言葉が放たれた。 「あなたは生徒ですし、こんな美術室で……誰が聞いているかも分からないんですよ?」 「……でも…」 「"でも"も何もありません。教室に戻りなさい」 くだらないとでも言いたげに吐き捨てて、菅原は美術室を出て行った。
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