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その後ろ姿を見送って、離れていた思考が戻ってきた恭はどこからか怒りが込み上げてくるのを感じた。
勇気を出して、ずっと好きだった人に告白しようとしたのに、と。
まるで無駄な想いだというように一蹴され、静かな怒りとともに悔しさが沸いてくる。
恭の口から最後まで想いを伝えて、その上で断ってほしかった。
口にすること自体を拒否されて、負の感情が胸の辺りを駆け回っている。
喉に何かが詰まっているようにモヤモヤして、菅原に対する好意さえ消えてしまいそうになる。
しかし、長い間心の内に秘めていたこの想いは、そう簡単に忘れられるものではなかった。
耳に届いたチャイムの音で我に返り、恭は急いで美術室を後にして自分の教室である2年3組へと向かった。
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