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数学…途中から意識が朦朧としてきた…
俺はその淡々とした文字列に耐え、次は英語と数字の次は英字と格闘中だ。
しかし、格闘中とはいっても俺に決して負けは無い。なぜならば…
チクッ
………zzZ……痛っっ!!
俺は寝ぼけながら後ろを向く。
じろっ
実に冷たい視線を送りながら…かつ、やたらと顔が近い千歳さんがいた。
すると千歳さんは不意に自分のノートを開くと…
『寝てるんじゃないの!』
そう書いた。
俺はそのノートに、
『わかったよ』
とだけを書いて前を向く。
まったく…起こしてくれるのが有り難いのか否かは別として、頼むから背中を刺すのは止めて欲しいんだが…
その後も、眠りかける度に千歳さんは俺を突っついてくる。
おかげで授業は眠らずに済んだ。しかし勿論千歳さんに言いたい事がある。俺は授業が終わると直ぐに千歳さんに話しかけた。
「あのな…頼むから芯を出したまま刺さないでくれ」
『けど、おかげで寝ないで済んだでしょ?』
もちろん千歳さんは紙で伝えている
「そうだが、見てみろよ俺の背中!シャーペンの跡の黒いのがいっぱい付いてるだろ?」
『ファッション…?』
「んなわけないだろ」
『もう…分かったよ。後ろ向いて?消してあげるから♪』
「千歳さんが書いたんだから当たり前だろ…」
俺は後ろを向いた。千歳さんはせっせと消しゴムで消している。
そして消しながら、千歳さんは俺にまた紙を渡した
『千歳でいいから』
紙にはそう書かれていたのだが…
「名字なのに名前っぽくて言いづらいんだけど…」
これは俺の正直な気持ちである。
『そんな事気にしてるの~?意外と可愛い所あるね!』
「う…うるさい。分かったよ千歳な!」
『あ、"ゆり"でもいいけど?』
「千歳でいい…」
『そ♪』
まったく…音符マークまで丁寧に書きやがってる…。
千歳は俺の背中を叩き始めた。おそらく消し終わったのだろう。
そして筆記用具をしまい、"弁当を食べてくる"ってジェスチャーをして、準備をし始めた。
俺も弁当を持っていつもの所にって……なんか鈴木が変な目で見てるよ…なんだか面倒な気がするな、おい。
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