ーCommunicationー

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キーンコーンカーンコーン やっと授業が終わった。今回は寝ずに済んだ……って…… 授業の呪縛から開放された一瞬の喜びもつかの間、俺は驚くべき光景を見てしまった…。 後ろで4時間目まで散々人の事を起こしてきた奴が今、ここでスースーと寝息を立てて寝てやがる!! これは起こすべきであろう。今までやられた分を込めて… けど、千歳の眠ってる姿は実に…まぁその、あれな訳で…あえてそのままにすることにした。 そして帰り学活を終えた頃にまた振り返ってみると…やっぱりまだ寝てやがる。これは作戦の実行時期であろう。 俺は千歳のほっぺを、一応"軽く"つねった。 ぎゅう… バっっ 千歳は跳ね起き、目をまん丸にしてキョロキョロした。 「おはよう」 かなり嫌みっぽく言ってみる。 千歳はやっと自分の置かれた状況に気付き、意味不明に俺を睨めつけてきた。 「なんだよ…?」 「べつに」 そう言うと、また睨めつけてくる。 にらめっこも飽きたので、俺は千歳のおでこを軽くつつき、 「じゃあな」 と言って鞄をもって教室を出ようとした。 ドアの近くまで来た所で、俺の後ろから得体の知れない物体(たぶん鞄)が飛んで来て、 ドンっ!! と鞄は俺に直撃し、俺は前のドアにぶつかりそうになった。 「おい!!なにすんだよ!!」 投げた本人に発した言葉だか、本人は全く聞いちゃいない。 千歳は俺に向かって、手話らしきものをしてきた。しかし俺に、それを解読する能力などない。 それを千歳も察したのか、紙に何かを書き始め、その紙を丸めて俺に投げつけてきた。
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