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『ちょっと隣街まで行きたいの。早く行こ!』
このセリフは学校で言われた物だ。
今は電車の中にいる。なんでわざわざ遠くまで行かなくちゃならないのか…俺達の住んでる所だって、田舎じゃないし、そこそこ都会に近いハズなんだけどな。
つんつん
「ここ」
そう指示されて下車した所は、"都会"を認知できるぐらいの大きな街だった。(凄いなぁ)とか思っていると、千歳はトコトコと歩いて行ってしまう。
「はやく」
「ちょっと待てって…」
「おそいっ」
(なんで、ちょっとムスッてしてんだよ…)
一応念のためだが、千歳のセリフは俺が頑張って唇を読んでいるのである。
千歳はある店に入った。どうやら服屋らしい。
「お前、服が欲しかったのか?」
「うん。ここの…」
「ここの?」
「ふ、く、」
「服」
「か、わ、い、い、から」
「可愛いから?」
「うん」
千歳は首を縦にふる。俺はこの時ある言葉が頭に浮かび、それを発する。
「選んでやろうか?」
まぁ…せっかくだしな?あながち間違いじゃないだろ?
「………うん」
すると千歳は頷いてくれたので、俺はサッと辺りを見渡し
「じゃあ………こんなのはどうだ?」
とある服を手に取った。それは…
ちょっとからかいも含めた、フリフリの服を渡してみたのだ。
どんな反応をするのかね?
「………」
あれ?
「………………」
あれれ??
「………………///」
なんか…頬が赤くないか?
「………………」
タタタタタ…
あの…服を持ったままいったいどこに…?
「○○円になります」
なんか…お会計してるんですけどー!!
千歳は俺が選んだ服の入った袋を片手に、戻ってきた。
おなかが空いた。ってジェスチャー。
「なんか食べに行くか?」
「うん♪」
千歳はにっこり微笑みながら頷いた。
俺は不意にも…素直な千歳はちょっと、いや普通に可愛いって思ってしまった。
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